多汗症 汗かき

多汗症 汗かき

多汗症は読んで字のごとく、「人よりも多くの汗をかく病気」ということです。熱がある時や、高温の環境下ではだれでも汗をかきますが、多汗症の人がかく汗の量が違います。またこのような状況下でなくても常に汗をかく場合もあります。また手のひら、足の裏、わきの下、性器周辺といった限られた部分に汗をかく局所多汗症というのも多いです。また病気による多汗症もあります。更年期障害(卵巣機能が衰え、発汗を抑制するエストロゲンの分泌が低下するため)、甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンの増加により基礎代謝が高まるため)、まれに褐色細胞腫(アドレナリンが大量に分泌され代謝が高まるため)。
熱くもないのにあまりにも大量に全身から発汗する場合は必ず医療機関を受診してください。病気でもなく全身に汗をかきやすい多汗症を漢方では自汗と呼びます。自汗は生まれつきの体質的なものが多く、虚弱な体質の人がなります。またお肉をよく食べる人や肥満体質の方などは体内に熱がこもり体温調節のため(特に脳内の熱を冷ます)に頭部を中心に汗をかきます。局所多汗症は精神発汗とも言われ、自律神経の交感神経の亢進による発汗が多いです。それぞれの原因と症状に合わせた漢方薬を服用することが必要です。

症例1
19才 学生 男性 169cm 58kg
主訴:多汗症
運動をすると滝のように汗が吹き出る。特に夏は少し動いただけでも頭から背中にかけて汗をかく。

普段より疲れ易く、子供の頃に喘息、アレルギー性鼻炎があり、現在も春先や気温の変化で鼻水、くしゃみが出る。緊張しやすく顔がすぐに赤くのぼせる。手足は冷たい。寝付き、寝起きともに良くない。食欲は旺盛で下痢をしやすい。冷たいもの、甘いものを好む。舌ははん大、淡紅、歯痕有舌苔は白。

【弁症と論治】
胃腸が弱く、五行の肺金を十分に補うことができないために衛気が不足となり、汗がでやすい状態になっていると考えます。また、緊張しやすい性格が肝の高ぶりを生み内熱が発生しやすく、その熱を冷やすために汗がでると考えます。
四君子湯をベースに、不足した気を補うために黄耆を使用。自律神経のバランスを整え、内熱を取るために柴胡と黄ゴンを使用した漢方薬を処方しました。

服用2ヶ月目、手足の冷えがなくなってきた。汗に関してははっきりとした変化は見られない。
服用3ヶ月目、汗をかく量が減ったことを自覚できるようになった。
服用4ヶ月目 胃腸の調子が良くなり、下痢をしなくなった。食事の量が減った。
服用6ヶ月目 顔が火照ることが減ったため、内熱を取る生薬を減らし、理気を強化した処方へ変更。
服用11ヶ月目には汗は気にならなくなってきたので、服用量を徐々に減らし、休薬後は、体調維持のためにリナグリーン21プレミアムを服用。

カテゴリー:病気・症状に対する漢方

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